現代中国地域研究の新たな視圏

東西冷戦構造の解体から新国際秩序の模索の過程において顕在化した「中国」のインパクトを，競争・共生・共同あるいは摩擦・対立・対決といった日本のとるべき立場と態度との緊張関係を意識しつつ、さまざまなディシプリンを駆使して討究する。

はじめに

序　中国地域社会と正統性問題［西村成雄］

第I部　グローバル化する世界と中国地域研究
　１　グローバル化時代の地域研究 ― 特権性の喪失［平野健一郎］
　２　「中国」の自画像 ― その時間と空間を規定するもの［堤 一昭］
　３　漂白する「私」 ― 多様化するチャイニーズ・アイデンティティ
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　［宮原 暁（解説）］
　４　二一世紀東アジアの国際秩序と「中国」［山田康博］
　５　「中国」経済空間のダイナミズムと日中経済関係［許 衛東］

第II部　中国地域社会空間の変容とトランスナショナル空間
　６　中華ナショナリズムの経済史的文脈
　　　　　　　　 ― 一九三六年中国「埠際交易」の政治的含意［西村成雄］
　７　華北における近代交通システムの初歩的形成と都市化の進展
　　　　　　　　　 　　　　　　― 一八八七‐一九三七［江 沛（青柳伸子訳）］
　８　「終戦」「抗戦勝利」記念日と東アジア［田中 仁］
　９　中国の台頭と日中関係［紀 宝坤・宮原 暁］
　10　二〇世紀におけるアメリカの「中国体験」
　　　　　　　　　　　　　　　― 歴史の記憶と挫折のなかの模索［馬 暁華］

結　中国地域研究と二一世紀の日本［田中 仁］

索引